素敵な響きのある「十六夜」という言葉ですが、実は古くから日本の季節を表す言葉として用いられてきた言葉でもあります。その意味と現代での考え方、季語としての使用方法についても解説していきましょう。
こちらの記事では、
- 「十六夜」の読み方と意味を徹底解説!
- 旧暦と現代の日付は違う?
- 「十六夜」は季語としても活躍!
についてご紹介します。
「十六夜」の読み方と意味を徹底解説!
「十六夜」は「いざよい」と読み、古くは「いざよひ」と表されていました。「じゅうろくや」と呼ばれることもあります。
十六夜はその名の通り、新月の日から数えて16日目の夜を意味する言葉です。夜全体を表すこともあれば、月のことを指す時もあり、文章によって若干意味が異なってきます。中秋の名月とも呼ばれる「十五夜」から1日経った夜や月を指しており、十五夜に比べ50分ほど遅く姿を見せることから、「ためらい」の意味を持つ「猶予う(いざよう)」から名付けられました。
まるで姿を見せるのをためらうかのように、少しずつ姿を見せる十六夜の月。その様子が奥ゆかしく、さらには切なくもあることから、古くから和歌や俳句、書籍などに多く用いられてきた言葉でもあります。
また、「ためらい」の意味を持つことから、一部では動詞として使われることも。
君や来む我や行かむのいさよひにまきの板戸もささず寝にけり
【意】
意中のあなたが来てくれるのか、それとも私が向かうのが良いか……とためらっているうちに、月が出てきてしまったようだ。
もう時間も遅いから、と諦めて、私は寝床の扉も閉めずに寝てしまうのだ。
あなたが会いに来てくれるのを待ちたい気持ちと、自分から行きたい気持ちの間で葛藤しているうちに、十六夜の月が高く昇ってしまった……という切なさを詠んだ歌です。月明かりの下で切ない気持ちを抱える人物の様子がありありと伝わってきますね。
旧暦と現代の日付は違う?
元々十六夜は、中秋の名月「十五夜」の翌日を指す言葉でした。旧暦での十五夜は「8月15日」ですから、十六夜は「8月16日」の事だとわかります。
一方で現代の十六夜は、中秋の名月の翌日という意味と共に、「毎月訪れる満月の翌日」という意味が増えました。2022年の場合、以下の日が十六夜に当たることになります。
・1月19日
・2月18日
・3月19日
・4月18日
・5月17日
・6月15日
・7月15日
・8月13日
・9月11日
・10月11日
・11月9日
・12月9日
これらの日に月が出ていたら、少し見上げてみると良いでしょう。古くから日本人が見上げてきた月を、今同じように見られることに、感慨深くなりますね。
「十六夜」は季語としても活躍!
先ほども1句ご紹介しましたが、十六夜は季語としても活躍しています。中秋の名月と関わりがあることからわかるように、「秋」の季語であることを覚えておきましょう。
十六夜もまた更科の郡かな
【意】
更科で見た十五夜の月が綺麗で、十六夜の今日もまだここにとどまっている。
松尾芭蕉の詠んだ上記の句は、あまりの綺麗さについ俳句にしたくなるような十六夜の月を描いたものです。「十六夜」を季語に使った俳句は、十五夜の堂々とした満月に比べ、儚さや過ぎ去ってしまうことへの寂しさなどが表れているものが多いといえるでしょう。
まとめ
「十六夜」は古くから親しまれている言葉であると同時に、現在も不意に見上げたくなる月を表しているとわかりました。現在の考え方では、年に12回見られる十六夜の月。すっきりと晴れた日の夜は、日常の喧騒から離れ、夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。