現代日本で一般的に使われている「あいうえお」の50音が、かつて「いろはにほへと」という歌だったことは有名な話です。全ての平仮名が1回ずつ使われており、工夫を凝らして作られたことがわかりますね。後に「ドレミファソラシド」の音階も、「いろはにほへと」で表されるようになりました。
そこで今回は、「いろはにほへと」に込められた意味や読み方をはじめ、作られた経緯などをご紹介します。始まりは一体だれが作ったのかも探っていきましょう。
こちらの記事では、
- いろはにほへとの意味や読み方を解説!
- なぜ作られたか・誰が作ったかの歴史も調査!
についてご紹介します。
いろはにほへとの意味や読み方を解説!
いろはにほへとは始まりの7音ばかりが使われていますが、実際には47音全てを1回ずつ使って作られた歌です。試しにやってみるとわかるように、他の音と重複しないように意味の通る言葉を作るのはかなり難しいこと。いろはにほへとの作者は、かなり頭の良い人物であると思われます。
そんないろはにほへとの全文はこちら。
いろはにほへと(色は匂えど)
ちりぬるを(散りぬるを)
わかよたれそ(我が世誰そ)
つねならむ(常ならむ)
うゐのおくやま(有為の奥山)
けふこえて(今日越えて)
あさきゆめみし(浅き夢見じ)
ゑひもせす(酔ひもせず)
(ん)
一見どんな意味があるのか分かりにくいですが、それぞれの意味を見てみましょう。
色は匂へど……今こうして素敵な香りを放っている花も
散りぬるを……いつかは散ってしまうのだろう
我が世誰そ……この花のように、誰にとっても
常ならむ………この世は永遠ではないのである
有為の奥山……移ろいゆくこの現世への思いを
今日越えて……今日越えることができたのなら
浅き夢見じ……こんなに儚い夢に
酔ひもせず……酔いしれることもないだろうに
全体で見ると、この歌は変わりゆく風景や自分の体、感情などを思い、その儚さを歌った歌だということがわかります。昨日美しく咲いていた花が今日は散ってしまうように、長い時の流れの中では自分の命など取るに足らないほど小さなものなのです。
また、いろはにほへとを7音ずつ区切ってみた場合に以下のような文章が現れることから、一部では「いろはにほへと」が怖い歌だとされているようです。
いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らむうゐのおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす
これらの右端の文字を取ると、「とかなくてしす」と読めますね。漢字を当ててみると、「咎なくて死す」。咎というのは、現代でいう冤罪のことですから、「冤罪(濡れ衣)により、無実の罪で死ななくてはならない」という意味になります。
そのため、無実の罪を着せられ、本当は悪くないにもかかわらず死ななけらばならなかった人の「恨み」が込められているといった説があるようです。真偽は定かではありませんが、ここまでうまく当てはまると偶然ではないようにも思えますね。
なぜ作られたか・誰が作ったかの歴史も調査!
では、工夫を凝らして作られた「いろはにほへと」は、一体だれが作ったのでしょうか。
実は、いろはにほへとの作者は現在も分かっていません。数ある説の中から、特に有力とされているのが「空海」説。平安時代の僧である空海が作ったとすれば、いろはにほへとは平安の頃から既に日本に浸透していたことになります。
その後、知らない人はいないほどに広まることとなったいろはにほへと。幼い子どもが文字を覚える際にも使用されており、日本人の勉学には欠かせない歌となりました。
まとめ
今回は有名な「いろはにほへと」について、歌の意味や作者などをご紹介しました。これほどの時間が経ってからも、謎に包まれた部分が多いいろはにほへと。工夫を凝らし、練りに練って作られた歌であることは間違いないでしょう。