初詣や合格祈願・安産祈願などで神社を訪れたとき、入ってすぐの場所にある「手水舎(ちょうずしゃ)」。その名の通り手を清める場所として知られていますが、同時に口をすすぐ場所でもあります。サッと済ませてしまう方もいれば、すすがずに通り過ぎる方もいますが、せっかくならば正しい手順で行ってみてはいかがでしょうか。
今回は神社参拝時に注意したい手水舎で口をすすぐ方法と、すすいだ水をどこに吐き出すべきなのかについてご紹介します。神様のいらっしゃる神社において正しく参拝ができるよう、理由や歴史と共に学んでいきましょう。
こちらの記事では、
- 神社参拝前にチェック!手水舎での正しい口をすすぐ手順
- 神社で口をすすぐ場合は吐き出す場所に注意!
- 神社参拝時はなぜ口をすすぐの?理由と歴史を解説
についてご紹介します。
目次
神社参拝前にチェック!手水舎での正しい口をすすぐ手順
置いてある柄杓で水をすくって手を洗う、というイメージの強い神社の手水舎。もちろん手や口をすすぐ場所としては間違っていませんが、正しくは以下の手順で行います。
1.右手で柄杓を持って水を汲む
2.左手を清める
3.左手に柄杓を持ち替える
4.右手を清める
5.右手に柄杓を持ち替える
6.左手を椀の形にして水を注ぐ
7.左手の水で口を清める
8.左手を清める
9.柄杓を手前に倒すように立てて持ち手を清める
10.柄杓を戻す
細かく分けると10個の工程に分けられており、一度で覚えるのはなかなか難しいことが分かるでしょう。特に忘れがちなのが口をすすいだときに使った左手をもう一度清めたり、最後に柄杓を清めたりする点です。
また、もっとも注意しなければならないのは、柄杓で水を汲めるのは最初の一回だけだということ。途中で水が足りなくならないよう、「右手・左手・口・左手・柄杓の持ち手」の5ヶ所に対し均等に水をかけなければなりません。口や柄杓の持ち手は少量の水でも事足りるため、手を清める際に水を多めに使うのもポイントです。
さらに、これらの工程を一通り終えたら、手や口は必ずハンカチで水気を取りましょう。持っていないからといって水気をパッと飛ばしたり、服で拭いたりするのはNGです。神社へ参拝する際はハンカチやティッシュを忘れずに持参することが大切です。
神社で口をすすぐ場合は吐き出す場所に注意!
続いて、口をすすぐ際の手順についてもう少し詳しく見てみましょう。
1.左手を凹ませて水を注ぐ
2.中に入った水を口に含む
3.左手で口元を隠しながら口内をすすぐ
4.左手で口元を隠しながら口内の水を吐き出す
5.左手を清める
口をすすぐ際は必ず左手で口元を多い、すすいでいる様子が周りに見えないように配慮します。口に含んだ水は手水舎の周りにある排水溝や砂利・水路などに吐き出しましょう。手水舎の中に口から出た水が入ることのないように注意しながら、周りに飛ばないよう吐き出します。
上記のような手水舎の場合、口に含んだ水を吐き出すのは石畳が一段凹んだ部分です。土台の石にかからないよう、静かに水を吐き出しましょう。
神社参拝時はなぜ口をすすぐの?理由と歴史を解説
これまでに神社への参拝経験がある方であれば、一度は手水舎を使ったことがあるのではないでしょうか。自然と「手や口を清めるもの」として使われていますが、そもそもどうして手水舎があるのかといった理由まで知っている人は少ないものです。
続いては手水舎がどんな役割を担っているのかについて触れながら、手や口を清めずに参拝するとどうなるのか、または口をつけられない場合の対処法などもご紹介します。
手水舎の役割と口をすすぐ意味
私たちが神社に参拝する際は、手や口など穢れ(けがれ)が溜まりやすい部分だけを清めれば良いとされています。
しかし古い時代の日本では、神の前に穢れを持ち込むべきではないといった考え方から、参拝の前には禊(みそぎ)を行うのが通例でした。禊は滝や川などで身を清めるもので、手や口だけでなく全身が水に浸かっていなければなりません。冬の参拝時などは、文字通り身も凍る思いだったことでしょう。
現代の日本では参拝の度に禊を行うのは難しいため、手や口を清めるための場所として手水舎が設けられました。多くの手水舎では水を司る神・竜神が彫り込まれており、これから神様の前に姿を現すための大切な儀式を見守ってくれています。
口をすすぎたくない場合の対処法
本来であれば手や口を清めてから参拝することが良しとされていますが、手水舎によっては葉や虫が入ってしまっていたり、感染症を防ぐために口を清めるのははばかられたりする場合もあるでしょう。こういった場合は、以下のような方法で身を清めるのがおすすめです。
1.手は本来の方法で清め、口は水につけるふりをする
2.持参したペットボトルの水で手や口を清める
3.ウェットティッシュなどで手や口を清める
口を清められない場合、水を口に含まずに唇にそっと触れるだけにしたり、手で口を覆って清める動作を行ったりするだけでも良いとされています。持参した水でお清めを行う場合は、飲みかけのものではなく、新たに購入したものを使うと良いでしょう。水が用意できない場合は、ウェットティッシュや濡らしたハンカチなどで手を拭くだけでもOKです。
大切なのは「神様の前に出る際に身を清める」という想いであり、その過程はそれほど重要ではないとする神社も多くあります。少しでも清潔な状態で参拝するためにも、ペットボトルやウェットティッシュなどの準備を整えて向かうと良いでしょう。
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まとめ
今回は神社参拝時に行うべきとされている手水舎でのお清めについて、正しい方法や意味などをご紹介しました。
近年は花々を敷き詰めた「花手水」など、見るも美しい手水舎がたくさん登場しています。本来の意味を理解し正しく使用するとともに、美しい景観も楽しんでみてはいかがでしょうか。