神社で口をすすぐ手順と吐き出す場所|すすぎたくない時の作法も

最終更新日:2026年8月16日

神社で口をすすいだあと、その水をどこに吐き出せばいいのか迷った経験はありませんか。答えは手水舎の足元にある排水溝、または周りの砂利や石畳です。水がたまっている水盤(すいばん)に戻すのは、多くの人が使う場所を汚すことになるため避けなければなりません。

初詣や合格祈願、安産祈願などで神社を訪れたとき、鳥居をくぐってすぐの場所にあるのが「手水舎」です。読み方は「ちょうずしゃ」のほか「てみずや」「ちょうずや」などがあり、神社本庁は「てみずや」としています。どれか一つが正解というわけではありません。

手を洗う場所として知られていますが、本来は口をすすぐ場所でもあります。ただし近年は感染症対策で柄杓(ひしゃく)を置かず、水を流しっぱなしにしている神社も増えました。柄杓がない手水舎では手順そのものが変わりますので、その場合の作法もあわせてご紹介します。

こちらの記事では、

  • 神社で口をすすいだ水は排水溝や砂利に吐き出す
  • 手水舎で口をすすぐ手順は5ステップ
  • 口をすすぎたくない時は唇を湿らせるだけでもよい
  • そもそもなぜ神社で口をすすぐのか

 
についてご紹介します。

先に結論だけ知りたい方へ

・吐き出す場所は足元の排水溝、または周りの砂利や石畳
水盤(水がたまっている部分)に戻すのはNG
・口に含んだ水は飲み込まない
・柄杓で水を汲めるのは最初の一度だけ。配分は左手3割・右手3割・口1割・左手2割・柄1割
柄杓に直接口をつけるのは誤り。必ず左手のひらに水を受ける
・柄杓がない手水舎では、流れる水を両手で受けて清める
・水が汚れている時は無理にすすがなくてよい

神社で口をすすいだ水は排水溝や砂利に吐き出す

神社の手水舎

口に含んだ水を吐き出す場所は、手水舎の下にある排水溝や、周囲の砂利・石畳です。手水舎は水盤の縁が地面より高くなっており、足元に水を逃がすための構造が設けられています。そこへ静かに出すのが基本と考えてください。

神社によって形が異なるため、現地では次の3つのどれかを探すことになります。

吐き出す場所は主に3パターン

形状 見分け方 吐き出し方
排水溝・側溝 水盤の足元に細長い溝や金網がある 溝の真上でかがんで静かに出す
砂利・玉石 手水舎の周りに小石が敷いてある 石の上へ低い位置から出す
石畳の凹み 土台の周囲が一段低くなっている 凹んだ部分へ。土台の石にかけない

石畳が一段凹んだ形の手水舎

上の写真のような手水舎であれば、石畳が一段凹んだ部分が吐き出す場所にあたります。土台の石にかからないよう、体を低くして静かに出しましょう。

どこにも溝や砂利が見当たらない場合は、手水舎から少し離れた植え込みの根元でもかまいません。参道の中央や、人の通る場所を避けることのほうが大切です。

水盤に戻してはいけない理由

やってはいけないのが、口をすすいだ水を水盤(水がたまっている部分)に戻すことです。

水盤の水はそこにいる全員が共有するものです。唾液の混じった水を戻せば、次に使う人がその水で口をすすぐことになります。衛生面の問題であり、同時に神様へ供える清らかな水を汚す行為にもあたります。

同じ理由から、口に含んだ水を飲み込むのも避けてください。手水舎の水は井戸水や湧水であることが多く、飲んだからといってすぐ体調を崩すようなものではありませんが、清めに使った水を体に入れるのは本来の意味と逆になります。誤って飲んでしまっても神様に失礼にあたるわけではないので、気に病む必要はありません。

左手で口元を隠して静かに出す

口をすすぐ動作は、左手で口元を覆いながら行います。すすいでいる様子や吐き出す瞬間が周囲から見えないようにするための配慮です。

勢いよく吐き出すと水が飛び散り、隣にいる人や自分の靴にかかります。口を近づけてから、そっと流し落とすようなイメージで行うと失敗しません。混雑する初詣などでは、後ろに列ができていることも多いため、手早く静かに済ませることが結果的に一番のマナーになります。

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手水舎で口をすすぐ手順は5ステップ

手水舎の柄杓

口をすすぐ部分だけを取り出すと、次の5つの動作になります。

口をすすぐ5ステップ

1.左手のひらを凹ませて水を受ける
2.受けた水を口に含む
3.左手で口元を隠しながら口内をすすぐ
4.左手で口元を隠しながら排水溝や砂利へ吐き出す
5.もう一度左手に水をかけて清める

見落としやすいのが5番目の「口をすすいだ左手をもう一度清める」という工程です。口に触れた手をそのままにせず、最後に水で流します。ここまで含めて一連の作法です。

柄杓がある場合の10工程と水の配分

柄杓が置かれている手水舎では、全体は次の流れになります。

手水舎で手や口を清める流れ

1.手水舎の前で軽く一礼する
2.右手で柄杓を持って水を汲む
3.左手に水をかけて清める
4.柄杓を左手に持ち替える
5.右手に水をかけて清める
6.柄杓を右手に持ち替える
7.左手を椀の形にして水を注ぐ
8.左手の水で口をすすぎ、吐き出す
9.もう一度左手に水をかけて清める
10.柄杓を立てて柄に水を流し、伏せて元に戻す

最も注意したいのは、柄杓で水を汲めるのは最初の一度だけだという点です。途中で足りなくならないよう、汲んだ水を配分しながら使います。

目安となる配分は次のとおりです。

使う場所 水の量の目安 備考
左手 約3割 最初に清める
右手 約3割 柄杓を持ち替えて
約1割 左手に受けた分だけ
左手(2回目) 約2割 口をすすいだ手を清める
柄杓の柄 約1割 最後に残った水で

5か所に均等ではなく、手を清める段階で多めに使うのが正解です。均等に分けようとすると、口をすすぐ頃には必要以上の水が残ってしまいます。口と柄はごく少量で足ります。

最後の工程では、柄杓を両手で持って柄を下にするように立て、残った水を柄に伝わらせます。次に使う人が触れる部分を清めるための動作です。勢いよく立てると水がはねて服が濡れるので、ゆっくり傾けてください。終わったら柄杓置きに伏せて戻します。

柄杓がない「かけ流し式」の手順

新型コロナウイルスの流行以降、柄杓を撤去して水を流しっぱなしにする手水舎が各地に広がりました。竹筒や龍の口から水が落ち続けている形が代表的です。

その後、柄杓を元に戻した神社もあります。一方で、不特定多数が同じ柄杓に触れることを避けるため、流水のまま運用を続けている神社も残っています。現地で柄杓が見当たらなくても、それは手水舎が使えないという意味ではありません

柄杓がない場合は次のように行います。

柄杓がない手水舎での手順

1.軽く一礼する
2.流れる水に左手を差し出して清める
3.続いて右手を差し出して清める
4.左手のひらを凹ませて水を受ける
5.受けた水で口をすすぎ、排水溝や砂利へ吐き出す
6.もう一度左手を水に差し出して清める
7.軽く一礼して離れる

柄杓を使う場合との違いは2つあります。ひとつは柄を清める工程がないこと。もうひとつは水を汲む回数に制限がないことです。水が流れ続けているので、一度で配分を考える必要はありません。

ただし、だからといって何度も水を出しっぱなしにするのは考えものです。手・口・手と順に清め、必要な分だけを使うようにしましょう。

やってはいけない4つのNG

NG行為 理由 正しい方法
柄杓に直接口をつける 全員が使う道具のため不衛生。作法としても誤り 左手のひらに水を受ける
口に含んだ水を飲む 清めに使った水を体に入れることになる 吐き出す
水盤に水を戻す 共有する水を汚す 排水溝や砂利へ
手や口を服で拭く・水を振り払う 周囲に水が飛ぶ。清めた手を汚す ハンカチで水気を取る

最も多く見かける間違いが柄杓に直接口をつける行為です。柄杓は水を運ぶ道具であって、口をつけるためのものではありません。必ず左手に水を受けてから口に運びます。

また、清め終わったあとの水気はハンカチで拭き取ります。手を振って水を飛ばしたり、服で拭いたりするのは避けたい行為です。神社へ向かう際は、ハンカチを1枚持っておくと安心です。

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口をすすぎたくない時は唇を湿らせるだけでもよい

水に落ち葉や虫が入っていたり、衛生面が気になったりして、口をつけたくないと感じることもあるでしょう。その場合は無理にすすがなくてかまいません。左手に受けた水で唇をそっと湿らせる、あるいは口元へ近づけるだけでも清めたことになるとされています。

ただし、この点については神社側の見解に幅があります。神職の中には「よほどの事情がない限り、すすぐ真似だけで済ませるのは避けてほしい」という考え方をとる方もいます。手水は形式ではなく実際に身を清める行為だからです。

省略してよい場合と、できれば行いたい場合

状況 判断
水に落ち葉・虫が入っている すすがなくてよい
水が濁っている・藻が見える すすがなくてよい
花手水になっている 案内を確認。使用中止の場合が多い
体調が悪い・咳が出る すすがなくてよい
水は清潔だが抵抗がある 唇を湿らせる程度は行いたい

判断の軸は「清められる状態かどうか」です。水そのものが汚れているなら、口をつけても清めにはなりません。逆に水が清潔であれば、唇を湿らせる程度は行っておくと本来の意味に近づきます。

水が使えない時の3つの代替手段

方法 やり方 注意点
ペットボトルの水 手にかけて清め、口をすすぐ 飲みかけではなく新しいもの
ウェットティッシュ 手を拭く。濡らしたハンカチでも可 使用後は持ち帰る
草手水(くさてみず) 葉で手を撫でて清める 終わったら小さくちぎって土に返す

3つ目の「草手水」は、水がない場所での神事で用いられてきた方法です。境内の木の葉を2〜3枚いただき、その葉で手を撫でて清めます。水を用いない手水は古くから認められている形で、雪を使う「雪手水」、力士が土俵で行う「塵手水(ちりちょうず)」なども同じ系統にあたります。

大切なのは「神様の前に出る前に身を清める」という心持ちであり、その手段は一つに限られません。手水舎が使えなかったからといって参拝を諦める必要はまったくないと考えてよいでしょう。

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そもそもなぜ神社で口をすすぐのか

神社の鳥居と参道

手水は、かつて行われていた「禊(みそぎ)」を簡略化したものです。

古い時代の日本には、神前に穢れ(けがれ)を持ち込むべきではないという考え方がありました。そのため参拝の前には滝や川に入り、全身を水に浸して清めるのが通例だったとされます。冬場であれば相当な負担だったはずです。

現代でその都度全身を清めるのは現実的ではないため、穢れが溜まりやすいとされる手と口だけを清める形が残りました。それが手水舎です。手を清め口をすすぐことで、体だけでなく心も洗い清めるという意味が込められています。

多くの手水舎で水口に竜の彫刻が置かれているのは、竜が水を司る神とされているためです。これから神前に進む人を見守る役割を担っています。

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神社で口をすすぐことについてよくある質問

Q1.口をすすいだ水を飲んでしまいました

手水舎の水は井戸水や湧水であることが多く、飲んだからといってすぐ体に影響が出るものではありません。ただし清めに使った水を体に入れるのは本来の意味と逆になるため、次からは吐き出すようにしましょう。神様に失礼にあたるわけではないので、心配しすぎる必要はありません。

Q2.水が汚れていて使いたくありません

無理に使う必要はありません。手水舎は清めるための場所ですから、水そのものが汚れていれば目的を果たせません。持参したペットボトルの水やウェットティッシュで代用するか、境内の葉を使う草手水でも差し支えありません。

Q3.柄杓が置かれていませんでした

感染症対策で柄杓を撤去し、水を流しっぱなしにしている手水舎です。流れる水に左手・右手の順で手を差し出して清め、左手のひらに水を受けて口をすすぎます。柄杓がないので、最後に柄を清める工程はありません。

Q4.花手水になっていて水が使えません

花手水は、使用を中止した手水舎や手水鉢に花を浮かべる取り組みとして各地へ広がったものです。そのため花が浮いている場合は手水を取れないことが多くなっています。近くに別の清め場所や案内が用意されていることもあるので、掲示を確認してみてください。

Q5.ハンカチを忘れてしまいました

手を振って水を飛ばしたり、服で拭いたりするのは避けたい行為です。とはいえ拭くものが何もなければ、自然に乾くのを待つほかありません。参拝の予定がある日は、ハンカチかティッシュを持参しておくと安心です。

Q6.そもそも手水舎がない神社もあります

規模の小さな神社では手水舎が設けられていないことがあります。その場合はペットボトルの水やウェットティッシュで手を清めてから参拝しましょう。何も用意がなければ、鳥居の前で一礼し、身を正してから進むだけでも問題ありません。

Q7.お寺でも同じ作法でよいですか

お寺にも手水舎はあり、手と口を清める流れはほぼ同じです。柄杓の持ち替え方や水の配分も共通しています。異なるのは参拝時の作法で、神社は二拝二拍手一拝、お寺では手を打たずに合掌するのが一般的です。

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まとめ

神社の手水舎と柄杓

神社で口をすすいだ水の吐き出し方と、手水舎での正しい手順をご紹介しました。

  • 吐き出す場所は足元の排水溝、または周りの砂利や石畳
  • 水盤に戻すのはNG。口に含んだ水は飲み込まない
  • 左手で口元を隠し、静かに吐き出す
  • 柄杓で水を汲めるのは最初の一度だけ。手を清める段階で多めに使う
  • 柄杓に直接口をつけるのは誤り。必ず左手に水を受ける
  • 柄杓がない場合は流れる水を両手で受けて清める
  • 水が汚れている時は無理にすすがなくてよい

 

作法は細かく決まっているように見えますが、根底にあるのは神様の前に出る前に身を整えるという心持ちです。手順を完璧に再現できなくても、静かに丁寧に行えばそれで十分と考える神社も少なくありません。

手水舎の形は神社ごとに違い、竜の彫刻が置かれたものや、花を浮かべた美しい花手水もあります。作法を知ったうえで、その造形にも目を向けてみると、参拝の時間がより豊かなものになるはずです。

参考:大國魂神社「神社の豆知識」入見神社西野神社 社務日誌

※作法には地域や神社ごとの違いがあります。現地に案内の掲示がある場合は、そちらの指示に従ってください。

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